コラム

 公開日: 2012-01-13  最終更新日: 2014-06-03

虫太郎の伝言板 ⑫

虫の文化史(虫偏の虫)⑫
―人と虫が奏でる文化―

虫と文学
虫を題材や題名にした文学。

「虱(しらみ)」

芥川龍之介の短編小説に「虱(しらみ)」があります。

長州征伐に向かう船の中で起きた「シラミ論争」の話です。

シラミの効用について、森という男は「生きたまま集めて衣服の中に入れると、刺された体を掻いている内に、体が温かくなって寝つきが良くなる」と言います。

一方、井上という男は「シラミを集めて食うと、焼き米のような味で美味しい」と、毎日食べています。
ある晩、森が集めたシラミを井上が盗み食いしたことから、刃物沙汰になる。という話です。

シラミを、暖房器具や食料にするとは、ちょっと凄まじいで話ですが、シラミを題材にして小説が書けるところは、芥川龍之介の才能ですか。

龍之介は、「鼻」という短編も書いています。ちょっとした素材で、人の心の動きを焙り出します。才能ですね。


「蟹工船」(かにこうせん)

 小林多喜二の小説です。

 昭和初期、オホーツク海で操業するカニ工船で、資本家の利益のために奴隷のように働かされる労働者たちが、やがて労働闘争へと立向かってゆく話です。

派遣労働やワーキング・プア、経済の閉塞感を反映してか、近年読者が多くなった作品です。


(小林多喜二と蟹工船)


「かまきり夫人」

 五月みどり主演の映画です。

男を誘惑しては不幸に陥れる、妖艶な人妻を描いています。
メスがオスを食べるカマキリの習性にちなんだ題名です。


「蜻蛉(かげろう)日記」

 平安朝の右近衛大将 藤原道綱の母による日記です。

21年にわたる藤原兼家との結婚生活を綴り、公卿の妻としての苦しみや嘆きを記したもので、「なおものはかなきを思えば、あるかなきかの心地する、蜻蛉日記といふべし」からつけられた題名です。
この時代の「カゲロウ」は、現代の「トンボ」を指しました。

つづく

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