コラム

 公開日: 2011-07-29  最終更新日: 2014-06-03

虫太郎の伝言版 ④

虫の文化史(虫偏の虫)④
―人と虫が奏でる文化―

「土蜘蛛」退治

源 頼光(らいこう)

 虫退治の話で有名なのは、源 頼光(よりみつ)の「土蜘蛛」という話です。このお話は「源平盛衰記(じょうすいき)」に詳しく書かれていています。
主人公の源 頼光は、「御伽草子」や「今昔物語」などにも登場していて、妖怪退治のプロフェッショナルのイメージが定着しています。一般には、源の頼光(らいこう)さん、と呼ばれています。

頼光さんは、平安時代中期(850頃) の武士で、源 頼朝の祖先にあたり、大江山で酒天童子を退治したとも伝えられています。

「土蜘蛛」(つちぐも)源 頼光が熱病にかかって寝込んでいた時のことです。
ある晩、怪僧が現れて頼光に忍び寄ると、ナワで縛りあげようとしました。しかし、そこは頼光、すかさず傍らの名刀「膝丸」で僧を切りつけます。

手傷を負いながら逃げた僧の血の跡を追って行くと、北野にある大きな塚にたどり着きます。
この塚を壊すと、1メートル以上もある大蜘蛛が現れました。頼光の熱の原因は、この蜘蛛のせいだったのです。すぐに、これを討ち取り、鉄の串に差して河原にさらしました。

「つちぐも」とは?

いくら千年以上前でも、そんな大きなクモは居ないでしょう。実は、「土蜘蛛」には、興味深い別の意味があります。
当時、大和朝廷に従わなかった人達を、「土グモ」と呼びました。こうした人達は洞穴(ほらあな)
に住んでいたので、「土ごもり」が転じて「土グモ」になったようです。
頼光さんは、朝廷に従わない人達を征伐した、と読み取れます。




(土蜘蛛塚 京都北野 東方観音寺)

「武士」の存在意義

このころ、武士という階級に、国家的な存在意義が必要になってきました。そこで、武士は「朝廷の守護役」としての地位を模索します。頼光さんの公式記録を見ても、化け物退治はありません。とすれば、「土蜘蛛」は、後世の源氏一族が作り出したヒーロー伝説のようです。
「源氏一族は、朝廷に仇なすものを、ことごとく討ち果たすものなり」と。

つづく

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