コラム

 公開日: 2011-04-28 

人と虫との関わり学(7)

人文虫学 ―人と虫との関わり学― ⑦


確かな社会とは

 1997年、バブルが崩壊し、アジアの工業先進国であったタイがIMF(国際通貨基金)の管理下におかれたとき、プミポン国王が国民に呼びかけた言葉があります。
その主旨です。

「工業先進国をやめよう。国が栄えて社会が滅んでは意味がない。国よりも社会を重視しよう。(具体策は省略)。基本的な自給を確保して、売るための農業から暮らしをつくる農業に変えていこう。そうすれば幸せに生きられるはずだ。」

 これは、社会の全てが資本主義経済の原理で作動するのではなく、社会の核の部分に自給的な原理で働く空間をつくることで、安定と持続可能な社会を実現する、という考え方で、「NOT FOR SALE」(売るためだけではなく)という、資本主義経済の欠陥から社会を救おうとする北欧での発想にも通じます。通俗的な現実を相手にし、目先の利害を求める大衆(票)に媚びざるを得ない政治家ではなく、社会の安寧を導くべき立場の国王にして発することができた言葉でしょう。
 
確かな社会の条件は、働く手ごたえと充実感と、そして人々のつながりと支え合いが感じられる社会であるはずです。幻想的な閉鎖系の経済社会の鎖から身をよじって逃れ出たとき、はじめて周りの景色もそして虫や生き物達の存在も、昔のようにもっと身近に感じることが出来るのかも知れません。

つづく
コダマサイエンス/小幡 大介

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