コラム

 公開日: 2011-03-24 

人と虫との関わり学(4)


人文虫学 ―人と虫との関わり学― ④

経済社会の柵


 仏教の世界を除けば、最近になってようやく、人間は生物の多様性によって生かされていることを悟るようになってきました。

一方、今日の文明社会と呼ばれる地域の都市では、ほとんど自然との接触なしに人間が生涯を送ることができるという、幻想的な社会がすでに存在します。経済活動に参加して、一定の対価を得ることができれば、自然から隔離されたその安全な幻想社会の一員として暮らすことが許される仕組みです。

そこにあるのは、景色ではなく構造物で、光ではなく照明で、風ではなくダクトからの吹き出しで、市場ではなくスーパーで、食材ではなく加工品(飼)です。自然に立ち向かう必要もなく、食糧を育て収穫し加工する必要もなく、狩をもせず、虫も追う必要もない。面倒といえば、買わないと物が手に入らないことと、経済活動に参加しなければならないことくらいです。一方必要がなくなった、自然相手の冒険、食糧生産や狩りなどの労働、食材加工や調理の工夫などは、今や金と時間がかかる高嶺の趣味となり、庶民はせいぜい、車かアウトドア、ゴルフかテレビかパソコンか、酒や食事でストレスを癒します。

しかし、それは経済の柵の中だけの、多様性とは程遠い閉鎖系の社会に違いありません。虫屋の文明嫌いは、どうやらこの辺りに根源があるようです。


科学と経済の幻想


科学技術を基盤とした経済社会は、確かに人々の生活を豊かにする素質を備えています。その反面で、現実の社会が全てであるかのような錯覚を人々に抱かせる作用も持っています。そうした錯覚に陥った場合、「社会の虜(とりこ)」になったも同じで、幻想の世界にさまよい込んだようなものです。

もしも、科学技術が、我々の食料である穀物や動物性蛋白質などの食材を、ゼロから合成することに成功したなら、現代科学を神とする現実社会という一神教の原理主義に帰依しても良いかも知れません。

しかし、現代の科学技術は人類の生命源である「食糧」について、自然物に手を加える力しか持ち合わせません。未来においても、虫はおろか草の種子すら創りだすことは出来ないでしょう。

コダマサイエンス/小幡 大介

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