コラム

 公開日: 2011-03-10 

人と虫との関わり学(3)


人文虫学 ―人と虫との関わり学― ③

虫の音を愛でる文化


 虫を栄養源の一つとしてきた人間も、いつか虫の音(ね)に耳を傾け、詩歌
を吟ずるまでの情緒的な文化を形成するようになりました。
虫の音を愛でる理由には、単純に音色による以外に、季節感や雰囲気を感じる
感性、小さく短命な生き物を慈しむ優しさ、配偶者を求める恋の歌への共感、
精霊がチョウ(蝶)に姿を変えるといった地域信仰的なイメージなど、極めて繊細
で高度な感性が関与します。
日本ではすでに「万葉集」の時代から虫の音を愛でる文学(詩歌)がありまし
た。西欧の昆虫文学は観察記が多いのに対して、日本では感性的に虫を描くの
が普通です。江戸時代には「虫屋」(虫を売る商売)が定着し、庶民も虫の音を
愛でていました。


虫(自然界)に学ぶ科学


 機械と動力の大変革と進歩、いわゆる産業革命(18世紀後半~)は、工業
生産によって都市化をもたらし、農業においても「機械による資本主義的な生
産」をもたらしました。こうした生産物の創出という大脳の働きが優先する文
明社会では、生産される商品が興味(欲望)の対象として求心的な地位を占め、
その他の事物は興味の対象外になりやすく、虫の存在や自然への畏敬もその
例といえましょう。
 しかし、人間の経験や知見だけに拠る創造(想像)には限界があることも確か
です。単細胞の創作(加工ではなく)にも程遠い現在の科学技術は、往々にして
生物や自然界から学ばざるを得ません。例えば、「ハチの巣」のハニカム構造が
生む高強度、「蚕(かいこ)の絹糸」を目指した合成繊維開発の歴史、「竹の繊維分
布」による強靭さとしなやかさの融合、「玉虫の羽のらせん組織構造」による染
料を使わない着色法など、生態を模倣することによって、環境に自ら応答し、
機能を発揮するインテリジェント(知能)素材の開発も始まっています。

コダマサイエンス/小幡 大介

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