コラム

 公開日: 2012-05-22  最終更新日: 2014-06-03

虫太郎の伝言板 ⑯

虫の文化史(虫偏の虫)⑯
―人と虫が奏でる文化―

「蛇(へび)」の話

ヘビは虫太郎の天敵です。
しかし、怖いもの見たさから、興味は人一倍です。直接遭遇は御免だが、高みの見物は大好きという人もきっと多いはずです。 

「蛇」の名前

ヘビは漢字で書くと、虫偏に、ウ冠(かんむり)の下に「ヒ」で、它(だ)と書きます。 
它とは、ヌルヌルしてとぐろを巻くものの意味です。
日本語の「ヘビ」は、地面を《這う》とか、咬む意味の《咬(は)む》から来ています。つまり、「ハム」から「ヘビ」に変化したようです。

日本で噛み付くヘビの代表といえば、「マムシ」です。
本来、ハムやヘビは「マムシ」だけを指していたようです。
その証拠に、島根県の石見地方などの方言でマムシだけを、「ハミ」といいます。
つまり、「マムシ」こそが日本のヘビの代表です。

超動物である

ヘビは敬遠される一方で、人間にとって「とても気になる存在」でもありました。聖書で、イヴに林檎(リンゴ)を食べるようそそのかしたのも、ヘビです。

気になる理由は、「超動物的」ともいえる「特異性」にあるようです。ウナギのように長いけれどヒレがない。トカゲに似ているが足がない。虫のように地面を這うのに、肺で呼吸する。運動能力といえば、水・陸はもちろん、木登りも達者にこなす。感覚器官も、五感の他に、二つに割れた舌は、環境分析のセンサーになっている。
ほかの生き物とは大きく違う点で、ある種「孤高な生き物」といえます。

特殊性と怖れ

一口で言えば、ヘビは「不思議な生き物」といえます。
ヘビが、自分の尻尾(しっぽ)を飲みこむ図があります。
その結果は、消滅を連想させますが、同時に「自己完結」も暗示します。
学者の中にも、「厳密には、ヘビは爬虫類ではない」という人達がいます。
「ヘビ嫌い」の真因は、その特殊性への怖れにあるようです。


(薬学・医学の象)
つづく

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