コラム

 公開日: 2016-09-11  最終更新日: 2016-09-13

★134コーヒーマイスターの知っておきたい珈琲雑学9/11『ブルーボトルコーヒーの戦略』

★ブルーボトルコーヒーのヒットの秘訣は「捨てる」戦略にあり。
珈琲雑学1344
■「ブルーボトルコーヒー」というカフェがあります。
今回はこのお店について、お話をしましょう。
珈琲雑学1341
日本には東京都江東区清澄白河に2015年の2月に初出店し、マスコミに頻繁に取り上げられるなど、一時期かなりの盛り上がりを見せています。
一過性のブームで終わるかと思われたのですが、現在でも相変わらず休日には長蛇の列ができる盛況ぶりのようです。
創業者のジェームス・フリーマン氏が2002年に立ち上げたこのカフェは「日本の喫茶店文化」に影響を受けていると言います。
実際、フリーマン氏は日経新聞の記事の中で、ブルーボトルコーヒーを立ち上げるきっかけとして「日本の喫茶店文化」を挙げているのです。
以前から何度も訪日し、昨日紹介した「カフェ・ド・ランブル」など多くの名店といわれる喫茶店を訪れては、1杯ずつ丁寧にいれる日本の喫茶店文化のエッセンスを吸収しました。  ルーツは日本の喫茶店文化 ブルーボトルコーヒー探訪(日本経済新聞)です。
■ここで2つの疑問があるのです。
ブルーボトルコーヒーは、すでに古参の喫茶店、そしてスターバックスやドトールなどのコーヒーチェーン店が乱立するなかで、なぜ日本でヒットできたのでしょうか?
逆に、なぜ国内企業がこのような業態をヒットさせることができなかったのでしょうか?
ブルーボトルコーヒーは日本では「清澄白河」と「青山」2店舗存在します。今回は「清澄白河」店に焦点をあてましょう。
・『コーヒーの香りが強い』
他コーヒーチェーン店と比較し、香りがかなり強いように感じます。
焙煎後48時間以内の豆をつかう、と謳っているが、その影響が大きいのかもしれないですね。私のような素人にも香りのちがいがわかる、というのは驚くべきことではないでしょうか。
・『店内のデザインが面白い』
珈琲雑学1343
ブルーボトルコーヒーは焙煎を店内で行うため、広い場所が必要になります。
そのため清澄白河店は倉庫のような店内に、大きな焙煎機が置かれています。
椅子は固く高い。座席数も少なく、明らかにスターバックスや他の喫茶店のように「くつろぐこと」を目的としているのではなく、「コーヒーを飲むこと」に特化している様です。
・『店内で長居する人は少ない』
そのため、店内を見渡すと「理科室」にいるような気分になります。
・『ワッフルなどの甘いサイドメニューが充実』
コーヒーと合うサイドメニューとして、ワッフル、クッキーなどが置いてあります。
特にワッフルが暖かく非常に美味しいと感じます。
グラノーラなども置いてあるのだが、価格は高めで、種類は他チェーンと比べて少ないように感じます。
それもそのはずで「甘いもの」しか置いていません。
サンドイッチやパスタなど、食事のメニューはないのです。
あくまでも「コーヒーのお供」しか置かない方針のようですね。
・『コーヒーをドリップしている様が、エンタテインメント』
珈琲雑学1342
ブルーボトルコーヒーの特徴として、「目の前でコーヒーを淹れてくれる」というものがあります。
カウンターの一角でドリップを見せてくれるのだが、これがなかなか面白い嗜好です。
古い喫茶店などでも見ることのできる光景だが、ブルーボトルコーヒーのような雰囲気の中でみると化学の実験でもしているような雰囲気になります。
お湯や豆の量などを均一化し、オペレーションを標準化するため、秤の上でドリップをしているとのことだが、そのせいもあるのでしょう。
店員さんの「細やかな心遣い」などはあまり見られません。
混んでいることもあるのだろうが、そもそもスターバックスなどに比べて接客を重視していない印象があります。また、ドリップを一杯一杯行っているので、商品提供までの時間も長いです。
・『閑静な住宅街に突然出現する店舗』
清澄白河店が日本における第一号店ということだが、店舗はかなり大きめ。商業地の中にあるわけではないので、閑静な住宅街に突如巨大なコーヒー工場ができた、といった雰囲気です。
駅からは結構歩くので、「通りすがりの人が入る」というよりは「ブルーボトルコーヒーに行きたい」という目的を持った人しかほとんど来ないのではないでしょうか。
■「ブルーボトル」のようなカフェは、日本には存在しなかった
ブルーボトルコーヒーのヒットの要因は、「くつろぎ場所」や「変わった飲み物」「食事ができること」を売らず、「純粋においしいコーヒーだけを提供する店」という方針をとったことでしょう。
これが、従来の喫茶店や大手チェーンカフェに飽きた人、美味しいコーヒーを求める人に届いたのでしょうね。
==================
他店に劣ると思われることは
・のんびりできないこと ⇒ 飲んですぐ帰れば良い
・立地の悪さ ⇒ ブルーボトルコーヒーに行きたい。むしろ変わった立地が面白い
・メニューの少なさ ⇒ コーヒーを飲むためのサイドメニューしか必要ない
・接客 ⇒ 店の雰囲気と、ドリップをしているところを見てください
==================
という形で、「純粋においしいコーヒーを飲みたい人」にとっては、特に欠点ではないし、過剰サービスはむしろ店舗運営の障害となるのでしょう。
ブルーボトルコーヒーは、提供するものを少なくすることで成功したのです。
■他の企業ができなかったのは「捨てる」こと。
経営戦略の基本は捨てることでしょう。
『限りあるリソースをどこに使うか、これが経営戦略の本質です』
大手日本メーカーの家電を見てもよくわかるが、メニューを増やし、選択肢を増やし、機能を増やすのが日本の得意技です。
大手のカフェチェーン、個人経営の喫茶店も、メニューを増やし、オプションをできるだけ増やそうとします。やたらとメニューの多い喫茶店は日本にたくさんありますが、これは極めて日本的なことなのでしょう。
だが、コーヒー界の『Apple』と言われているブルーボトルコーヒーは、「削ぎ落とす」ことで、メリットを先鋭化させています。
こんなものが飲みたい、という顧客の声に細かく応える日本と、これが素晴らしいから飲んでみろ、という米国企業の考え方の違いが、「ブルーボトルが日本で生まれなかった」理由があるのです。
『戦略は、リソースをどこに集中させるか』という決めごとを指します。
そう考えれば、「コーヒーの味」という最もシンプルなことにリソースを集中させたブルーボトルコーヒーの戦略には、ヒットする理由があると言えますね。

これからの経営は「足す」から「引く」への意識を強化しなければならないのではないでしょうか。
皆さんも、『引く』戦略で実現した『ブルーボトルコーヒー』を覗いてみてください。
長くなりましたね。  ではまた

この記事を書いたプロ

COFFEEカルチャーIKEDA

池田修

鳥取県鳥取市布勢339―3 [地図]
TEL:090-2639-8881

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